PROJECT STORY 02

JESCOグループのアジア展開の軸として
東南アジアの人々、進出する日系企業に貢献

―JESCO ASIA JOINT STOCK COMPANYのご紹介―

社会インフラの電気工事と、日本からの設計・積算業務。
二つの事業がJESCOグループの成長を支える

ベトナム政府による「経済・社会発展10カ年戦略」(2011~2020年)でインフラ開発が三大重点分野に位置付けられたことにより、現在、同国ではさまざまな計画が急ピッチで進んでいる。ベトナムは国土が細長いという特性に加えて、主要都市のホーチミン市とハノイ市が南北のほぼ正反対に位置しているため、南北縦貫の高速道路、高速鉄道など、交通インフラの整備が長らく求められてきた。

そして現在、まさに建設中の南北高速道路でITS設備(料金所、ETC、監視カメラ、情報表示板等)の設置工事を担当しているのが、JESCOグループのアジア拠点でもあるJESCO ASIA JOINT STOCK COMPANY(以下、JESCO ASIA)である。

JESCO ASIAの前身であるJESCO SE VIETNAMは2001年に設立され、現地での事業実績はすでに16年に及ぶ。JESCO ASIAのビジネスはこうしたODA案件の工事業ともう一つの柱がある。それが日本のJESCO CNSが受託した案件の設計や、積算の業務を主に行う設計事業だ。実は同社のスタートはここからはじまっている。電気工事の一連の中でも、難易度が高いうえに手間がかかるこの業務をJESCO ASIAがオフショアビジネスとして担っており、グループの屋台骨として重要な役割を担っている。

タンソンニャット国際空港を皮切りに、大規模なODA*案件への参画

設計、積算を軸とする設計事業は、現在でもJESCO ASIAの業務の大きな柱である。JESCO ASIAの中牟田一社長は、「電気設計は、JESCOグループにとって最もなじみがあり、強みである業務の1つ。当社が培ってきたノウハウがあってこそのアジア進出でした」と進出当時の事情を語る。電気設計ではアジアに進出する日系企業のプラントなどを手掛けるほか、国際空港での設計実績も有する。また電気積算では、根気よく誠実に業務にあたるベトナム人の特性も相まって、即日対応を可能にする圧倒的なマンパワーを発揮している。

そんなJESCO ASIAが電気設備工事を始めたのは、顧客のニーズがあってのことだった。日本政府のODA案件が求める、高度な技術水準をクリアする企業として声がかかったのだ。それが2007年に竣工した、タンソンニャット国際空港新ターミナルビルの新築プロジェクト(電気工事の設計施工監理を担当)であった。

同プロジェクトがベトナムの運輸大臣からゴールドメダルを受賞するといった高い評価を得たことは、JESCO ASIAがベトナムで信頼を獲得するのに大いに貢献したといえる。その後、ノイバイ国際空港ターミナルビル新築工事(2014年)、南北高速ITS設備工事(2016年)と、JESCO ASIAのODA事業は、設計事業を上回る業績をあげることとなった。

*ODA・・・政府開発援助(Official Development Assistance)。発展途上国の経済発展や福祉の向上のために先進国の政府及び政府機関が発展途上国に対して行う援助や出資のこと。

東南アジアの枠を越えた事業展開で、海外事業売上比率50%を目指す

JESCO ASIAは、JESCOグループにおいてその売上高の約3割を占める。同じくベトナムに設立したグループ企業・JESCO HOA BINH ENGINEERING JSC(以下、JHE)とともに、JESCOグループのアジア展開における戦略の確かな成果だと捉えている。海外事業売上比率50%のグループ目標の達成も視野に入ってきた。

日本政府のODA案件を中心に、インフラ工事を主軸とするJESCO ASIA、現地建設会社の電気設備子会社との合弁会社として設立され、主に民間工事が主体のJHE。役割と事業領域の異なる2社は、それぞれユニークな事業展開を図ることができ、JESCOグループの大きな強みとなっている。

いま、JESCO ASIAでは、ミャンマー、カンボジアなどの東南アジア諸国はもとより、バングラデシュ、スリランカなど、近隣のアジア諸国への進出を視野に入れている。「JESCOの名前を知っていただくためにも、その際には当該地域に初めて進出する日本企業でありたいと思っています」と中牟田はその意欲を語る。

そして、設計事業のさらなる拡充もまた、JESCOグループにとって重要な鍵となる。近年の日本では設計事務所でも高齢化の兆しがあり、オフショア案件は確実に増加する。東南アジアの国々は平均年齢が低く、ベトナムでもエンジニアを募集すると、最年長でも40歳くらいと日本の高度成長期を想像させる若々しさがある。JESCO ASIAでは、設計部門の300名体制を構築してこの需要に応える考えだ。「日本のJESCO」から「アジアのJESCO」へ。JESCOグループのアジア戦略は新たなステージに突入した。

(2017年9月掲載)

JESCO ASIA Joint Stock Company

10-11Floor, South Building, 60 Truong Son Street, Ward 2, Tan Binh District, Ho Chi Minh City, Vietnam

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